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医学薬学研究部 
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ご 挨 拶
第78回日本衛生学会総会学会長
熊本大学大学院医学薬学研究部
環境保健医学分野 教授 
上田 厚(うえだ あつし)
  日本衛生学会は、学問の自由と生活・環境・健康の現場に根ざした実学的な研究・活動という私たちの生存の基盤となる二つの方向を包括し、他の学会にはない特色をそなえた存在として、私たちのくらしと生き方に大きな役割を果たしてきました。
  昨年の第77回本学会総会では、森本(大阪大学教授)学会長のもと、メインテーマとして、「Lifestyle Renaissance−人と自然に優しい環境学・Spiritualな生き様の健康学」をかかげ、衛生学の基盤となる学問・実践と関連する様々な研究領域を統合した新しい衛生学の展望を視野に入れた討論の場と機会が提供されました。
  この学会の成果は、様々な学問領域を結集した連携研究会の組織化と展開、若手研究者の育成、衛生学会誌の充実といった現在の日本衛生学会の新しい活動の展開に、駆動力の役割を果たしているように思われます。
  私たちは、それを引き継ぎ、その成果を社会と生活の現場で生かすための衛生学としての新しい役割を探るため、本学会総会のメインテーマを、「循環共生社会の基盤としての環境・生活・健康」としました。
  このメインテーマのもと、学術発表の編成として、幅広い衛生学領域の研究を各個研究発表として結集させること、連携研究会の成果を発表できる場を提供することをめざして、学会員の皆様にご参加・ご出題を呼びかけました。おかげさまで、これからの日本衛生学会の研究・実践活動の核となる研究と研究者が結集した学会総会を構築することに成功しました。
  特別招待講演の千葉大学 森 千里氏(千葉大学)(ケミレスタウン・プロジェクタを用いた「未来世代のための環境健康科学(Sustainable Health Science)」の創成)、ランドマーク講演の佐藤 誠氏(北海道大学)(天草グリーンライフ・コミュニテイの展開)、石原 修氏(熊本大学)(環境共生手法による地域環境の形成と維持)には、本学会の基調講演として、メインテーマに対する直接的な答えを出していただける講演をお願いいたしました。また、シンポジウムはすべて公募によるもので、連携研究会からの出題を中心に、環境医学、予防医学、分子医学、遺伝学、免疫学、地域保健、健康科学、疫学など衛生学の基盤となる様々な研究領域から、17のテーマが出されております。いずれも、メインテーマに直接関わる課題が取り上げられております。このなかから、「職域及び生活環境中の感作性物質を全ての人々に知ってもらおう」と「多種化学物質への低濃度日常曝露の時代の衛生学」をメインシンポジウムとさせていただきました。一般演題につきましては、ポスター発表とともに口頭発表を数多く取り上げました。また、本学会の若手育成の方針の一環として、35歳以下の研究者からの発表から、学会長賞を選出することにしております。学会総会の行事でもある日本衛生学会賞(酒井敏行氏)、奨励賞(西條泰明氏、原田浩二氏)の受賞講演、次期学会長講演(相澤好治氏)もメインテーマと重ねてお聞きいただければ幸いに存じます。また、28日に開催されますフォーラム「医学系における公衆衛生大学院」は、これからの衛生学研究のあり方と展開にかかわる重要な課題であり、多くの方々のご参加を期待しております。
  このように、本学会が21世紀のわれわれが目指す生活や社会のあり方に深くコミットする場を作ることに成功し、これからの私たちのくらしに多面的に貢献しうる衛生学の方向性が、すこしでも見えてきたら幸いです。
  おりから、熊本市は、熊本城築城400周年のイベントが繰り広げられており、本学会総会会期中にクライマックスを迎える運びとなっております。学会参加とともに、熊本での滞在を大いにお楽しみいただけたら、さらに幸いです。
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